台風が来ると、ついつい、こういう文章を書きたくなるのよ。


 悦子は娘の美香に乳を含ませながら横になってうとうととしていた。

昼下がりの春光がサッシュのガラス窓越しに柔らかく差し込み、母子二人を暖めていた。

その姿を柱の影から盗むように見る者がある。
悦子の甥の隆之介だった。
中学生最後の春休みに彼は、母親の妹であるこの若い叔母の家に遊びに来ていた。

悦子にとって、美香は苦労の末に授かった女の子だった。
夫の定雄が、外務省の役人ということもあって、家にいることが少なく、夫婦がともに暮らすという雰囲気が結婚当初より数えるほどしかなかった。
悦子は、だから甥の隆之介を小学生のころからかわいがり、結婚してからも学校が長期の休みとなると、この富士山麓の瀟洒な住まいに招いていた。

隆之介としても、やさしく聡明な叔母に勉強を教えてもらえる上に、おいしくめずらしい洋食のご馳走を毎晩、振舞ってもらえるとあって、口うるさい母親の下を離れて過ごすほうが楽しかった。
実際、隆之介の母の幸子と妹の悦子では、性格が全く異なっていた。
母は倹約家で、口うるさく、隆之介にとっては単なるケチん坊としか映らなかった。
一方で、叔母は、夢想家で、ゆっくりしていて、絵や花に囲まれて過ごす、マダム的なところがあった。
それは、経済的なものも影響しているのだろう。
隆之介の父親は金属加工の職人で、このところの不況でずいぶん仕事が減ってしまい、家計のやりくりで母からいつも突き上げられて立場がなかった。

叔母は、世間の風などおかまいなしというか、マダム然として、しかも、いやみなく暮らしている。
隆之介にとって、富士山の見える叔母の家は俗な世間から隔絶された空間だった。

それでも、隆之介が叔母を慕うことについて、幸子は別段、自らを卑下することはなかった。
両親が病弱で貧しかった幸子にとって、悦子は自慢の妹であり、歳の離れた妹に学歴をつけてやり、この上ない旦那様を世話してやったと満足しているのである。
なにかにつけ、幸子は隆之介に、「えっちゃんは、よう勉強したから、幸せになった。定雄さんを紹介したのは私だからね」と言っては、自分が働いて叔母を大学にやったということを付け加えることを忘れなかった。

隆之介は、小、中学生のころは取り立てて変わったところのない子供だった。しかし、高校受験を境に、変化の兆しが見えてきた。
高校受験は彼にとって、大げさに言って死ぬか生きるかの選択だった。
口うるさい母親は、絶えず隆之介の尻を叩いて勉強机に向かわせた。
隆之介も高校受験の重大さは身にしみていて、地元の県立高校か名門の藤花高校か、選択肢は二つに一つだった。
結局、藤花には落ち、県立高校に進むことになったが、内心、家計に負担がかからずに済んだと、子供心に納得しているのだった。

高校受験のストレスの中、彼は自慰を覚えてしまった。その開放感は、彼を夢中にさせた。そして、親の目を盗んで、大人の雑誌をクラスメイトから借り受けて、緊張をほぐすように、秘密の行為にふけった。

中学の卒業式を終えた翌日、隆之介は、叔母の家に旅立った。もとより母は、卒業旅行のようなものだと、こころよく見送ってくれた。
受験の開放感が、彼の足を軽やかにしていた。叔母は、その年の一月に美香を出産したばかりで、今が育児のまっさかりであり、夫の定雄はブラッセル(ベルギーの首都)に大使事務官として三年間の期限で赴任していた。
出産のときはさすがに帰国して、ほんの二週間だけ愛妻と愛児のそばにいることが許されたものの、また現地に飛んでいかねばならなかった。
隆之介は定雄のことをあまり知らない。
英語のほかにドイツ語とか何ヶ国語かが、堪能で、度のきついメガネをかけていたことくらいしか覚えていない。

隆之介は、しかし、叔母の様子に、これまでと違う何かを嗅ぎ取っていた。
彼がまず目を見張ったのは、叔母の重そうな乳房である。
今まで、叔母の胸が気になったことなどなかったが、産後の女性の胸は、異様なほど膨らんでいた。そのうえ、母乳と混ざった、女の熱を帯びた体臭が叔母から絶え間なく発散していることだった。
すれ違うたびに、隆之介の鼻腔を濃厚な甘い香りがくすぐった。その強いフェロモンはすぐに少年の脳をしびれさせ、若い茎を硬くせしめた。

泊まりの初日は、がまんできず風呂場で自らをしごき、夥しい粘液を下水に流した。
狭い風呂場は、青臭い匂いで充満し、しばらく窓を開けなければならなかったぐらいだ。

もっと、彼を悩ませたのは、授乳の時である。悦子はまったく無頓着に、隆之介の前で、豊満な胸をさらけ出し、美香の小さな口に含ませるのだ。
悦子には、甥が、もう男であることが認識されていない。
悦子の中では、かわいい「りゅうくん」でしかなかったから、当然である。
かく言う隆之介も、オクテで、ひげも生えていず、髪は長めでさらさらしていて、女の子のそれと変わらなかった。
声変わりはしていたが、ハイトーンなため男っぽさを感じさせなかったことも理由のひとつかもしれない。

さて、そんな隆之介は、幼稚でゆがんだ性知識だけで、叔母の体を舐めるように柱の影から凝視していた。
「でっけえ、おっぱい」
彼の口は、半ば開き、乾ききっている。そしてオクテながら大人の兆しを見せる分身は硬く尖り、ズボンの薄い生地を押し上げていた。

産後の膨れあがった双乳をブラウスからこぼれさせている叔母に少年の目は釘付けだった。
既に美香はおっぱいから口を離してかわいい寝息を立てていた。
もちろん母親も、あられもない姿勢で寝入ってしまっていた。水色の薄い肌布団は悦子の下半身を軽く覆っているだけで無防備きわまりない。

隆之介は獲物を狙う猫のように平和な母子の部屋に侵入を企てようとしていた。
彼は、二人が寝る敷布を回り込み、悦子のすぐ左側に沿って体を静かに横たえた。目の前には左右にこぼれ落ちそうになりながら持ち主の呼吸に合わせて上下しているおっぱいがあった。
その乳首は赤黒くぼってりと膨らみ、なつめの実を想起させた。
乳の甘いにおいが隆之介の鼻腔を通過する。隆之介はたまらず、乳房に顔を近づけ、その実を口に含んだ。
「じゅっ・・・」

乳汁が口いっぱいに拡がり、牛乳とは異なる濃厚な甘さは彼を夢中にした。悦子はというと、吸引力を乳首に感じつつも、夢の中で愛娘に授乳させていると思いつつ満足げに笑みを浮かべ、未だ目を覚まそうとはしない。
「ごくり」
と口の中に溜まった乳汁を、隆之介は飲み干した。一度口を離したが、再び乳首にかぶりつく始末。
その光景を他人が見たら、大きな子供が母親に甘えている多少異様でも微笑ましいものだったろう。思わず、隆之介は乳首に歯を立ててしまった。
「痛い!」
悦子のしかめた顔が隆之介を見ている。一体何が起こっているのか悦子にも理解できないでいた。しかし、ようやくただごとではない状況に自身がおかれていることを認識した。
「りゅうくん、何をしているの」

驚きで、目を丸くしている悦子と、口を慌てて離す隆之介。
「ご、ごめんなさい。叔母ちゃん、ぼく・・・」
下を向いてしまう甥に、悦子は急に母性を取り戻し、十五といってもまだまだ子供、母親の乳を恋しがる子もあろうと、叱らずに柔らかな髪をなでてやった。

隆之介は、叔母のその行為を許諾の意思と勘違いして、さらに大胆な行為に出る。
背中に甥の体を感じていた悦子は、臀部に固い突起が押し付けられるのを感じて「ちょっと」と悲鳴をあげた。隆之介はすばやくズボンもパンツも下ろしてしまって、剥き出しの自分を叔母のキュロットスカート越しの尻に押し付けていたのだ。

悦子の手が、後ろに伸びて、押し付けているものを払おうとする。悦子は、硬く熱い肉の棒とちくちくと刺す陰毛の感触を掌に感じて手を引っ込めた。
「りゅうくん、あなた、何をしているの」

振り向こうとする叔母に隆之介はしがみついて、スカートの腰ゴムを伸ばして右手をパンティの又布あたりに侵入させた。
「ちょ、ちょっと。やめなさい。りゅうくん」
「ぼ、ぼく。がまんできないんだ。叔母ちゃん、させて」
「なんてこと。りゅうくんがそんないやらしいことを・・・」
そんなやり取りをしている間に、隆之介の指は熱を帯びた叔母の湿原にたどり着き、刺激を与え始めている。経験の少ない悦子にとって、異性の指の動きに体が感じてしまう。

「もういいでしょ。りゅうくん。あっ、くっ、やめなさいって」
制止の言葉も、喘ぎ声になっては、逆効果である。

隆之介は、自分が大人の女を感じさせていると思い、ますます執拗に叔母の秘め処を攻める。ついにパンティの股ゴムから指先を侵入させることに成功した。
叔母が股を閉じて、必死に抵抗するが、かえってその締め付けが彼女自身を快感に導いてしまった。
「あん。いけないわ。りゅうくん」
「いけないったって、叔母ちゃん、濡れてるよ。気持ちいいんでしょ」
「いじわるな、りゅうくん。でも、だめなの。りゅうくんとこんなこと・・・するなんて、姉さんがゆるさない」
「言わなきゃ、わかんないよ。おじさんにだって」
「もう、りゅうくんたら」
今度こそ、悦子は観念したらしい。それよりも、長らく性欲を感じていなかった体に火をつけられて、どうしようもなくなってきているという事情もあった。
まして、かわいい甥が相手である。近親相姦の禁忌を犯す魅力もあった。
いや、姉に対する復讐に似た心境かもしれない。
今まで姉の言いなりになってきたが、もっと自分は、自分からやりたいことがあったのだ。
それを、気がねして腹に収めていたのだ。
夫にも不満がないわけではなかった。
定雄は、スキンシップの乏しい人で、妻を抱くことを極力避けているようなところがあった。おまけに定雄は体力的に弱いのか、挿入してフィニッシュまで数分で終わってしまい、悦子は自ら慰める以上の快感を彼から与えられたことはなかった。

しかし、まだ年端も行かない隆之介は、どこで覚えたのか、女のつぼを心得ているというか、悦子好みの、悦子自身がしている「指あそび」の方法に近い攻め方をしてくれる。
「ああん、じょうずなのね。りゅうくん」
とうとう、甥の執拗な行為に対して賞賛する始末である。

「パンツ、脱がしていい?」
と問う甥にうなづく叔母。形勢が逆転してしまった瞬間だった。パンティは大きなしみを作って、履き替えなければならないくらいに汚れてしまっている。
互いに下半身を裸にして向かい合う。悦子の背中には、美香が寝息を立てている。悦子は甥の硬くなったモノを触って確認した。
「こんなにして、もう大人じゃないの」

そう言いながら、悦子はやさしく隆之介をしごく。
隆之介のそれは体から突き出ているという感じで、夫のそれはお腹にめり込んでいた。
それに硬さがまったくといっていいほど違っていた。
定雄のは、なかなか硬くならなかった。

「すごい。りゅうくんの先っちょがぬるぬる」
親指の腹で粘液を塗り広げ、隆之介の裏すじをこする・・・と
「ああ、ぼく、もう」
「え、え?」
隆之介は体をこわばらせて、痙攣したと思うと、叔母のももや、へそのあたりに、青臭い液体をほとばしらせた。

「くくっ。激しいわね、若い子は」
「ああ、でちゃった」
もうしわけなさそうに隆之介はつぶやく。
やわらかく、隆之介を絞る悦子は、にっこり笑って、慈愛に満ちた表情をしていた。
「ああ、こんなに出して。これなら、いっぱい赤ちゃんできるね」
お腹の上の液体をティッシュで始末しながら、悦子は独り言のように言った。

悦子は、なかなか子供に恵まれなかったのは、定雄のせいだと思っていた。
定雄は、こんなに大量に飛ばしたことはなかったからだ。

窓の外には、程よい大きさの富士山が二人を見下ろしていた。

二人の関係は、どんどん深みにはまっていきます。
では、また、いずれ。