秀子ねえさんは、ぼくを癒してくれる。
もう、人生に疲れたぼくを優しく包んでくれた。
母の温もりを知らないぼくは、秀子ねえさんにそれを教わった。
妻にも、してもらえなかった、愛の営み。

「ひでこぉ」
「こうじ・・・」
いつも決まったホテルでぼくらは逢引する。
もう五十八だという秀子ねえさんは、顔こそ年相応に更けているが、体は四十といってもいいくらいに張り切っていた。

ぼくは、童貞同然の女性体験で、まったく女体の神秘を理解していなかった。
秀子ねえさんは、そんなぼくを、上手にリードして、「逝かせ方」を教えてくれた。
「してあげるセックス」というものを教えてくれた。

クンニをぼくは、舐めるだけでオンナは逝くもんだと早合点していた。
クリを舐めるだけでよがり狂うもんだと勘違いしていた。

セックスは男女がお互いに、いたわり合い、高め合う、生の営み。
生きることを再発見する、死の対極。そして表裏一体の行為。

「むずかしいことはないの。向き合えばいいの」
秀子はそう言ってぼくの体を舐めつくした。
ああ、こんなところが感じるのだ。
新しい発見が秀子によってもたらされた。

「じっとしてていいのよ」
「さわってもいいのよ」
「あたしにまかせて・・・」

秀子は、言葉というより電磁波で語りかけた。

「ああ」
「おうっ」
「いくっ」
ぼくは、ただ翻弄された。
秀子の舌使いと湿らせた指で、そこかしこを攻めたてられ、いつでも射精してしまいそうな状況に縛り付けられた。
勝手に逝くことは許されなかった。

睾丸を、鳥肌が立つくらいに刺激され、竿がびくびくと痙攣した。
「逝くの?」
「逝ってしまいそうだ」
「だめよ。まだ」
小さいがはっきりと秀子が戒めた。

手コキが、ペペを塗られて激しく行われた。
秀子のフェラで一度、近くまで登り詰め、梯子を外された感じで手淫を施される。
「あうっ」
「逝くの。逝っていいよ」
しゃくるように手がぼくの赤黒く変色したペニスを上下する。
じゅぱぁっ。
粘度の低い液体が尿道から散った。
自分でするより、よほど気持ちのいい、射精。
「あら、あら。激しいのね」
秀子が、慈愛に満ちた表情でぼくのペニスをもみしだいている。
その顔には、ぼくの精液の一部が飛び散って流れていた。

「回復したら、あたしを逝かせてね」
小柄な裸体をぼくの隣に滑り込ませて、コケティッシュに微笑む。

ぼくは、再び硬くなるだろうかと不安になった。
それほど消耗が激しかったから。