あたしは、庭先を掃いていた。
時折晴れ間も見える花曇りの頃だった。
ふと、後ろに人の気配を感じて振り向いた。
「あなたは、こないだの…」
そう、あの青年だった。
どこか、主人の淳一に似ているようにあたしは思った。
「あ、あの…」
言いよどんで、彼は、
「山崎淳一さんの家(うち)ですよね。ここ」
「ええ、そうですけど」
あたしは箒を片手に答えた。
「おれね、淳一さんの、その…」
「親戚の方かなんかかしら?」
「ま、そういうもんです」
甥っ子さんかなんかなのかもしれなかった。
主人に歳の離れたお兄さんが一人いたはずだった。
「どうぞ、あがって」
あたしは、何か事情があるのだろうと、夫が警戒していたのにもかかわらず、家に誘い入れてしまった。

お茶の用意をし、母からもらった「泉屋」のクッキーの詰め合わせの缶をを開けて、菓子皿に取り分けた。
「あなた、お名前は?」
「淳平です。菅谷淳平」
「スガヤさん…?」
あたしにはその苗字に心当たりはない。
もし主人の兄なら同じ「山崎」のはずだからだ。
「うちの主人とどのようなお知り合いなのかしら?」
あたしは今さらながら、変な男を家に入れたことを後悔した。
「実は…あなたのご主人は、おれの父親なんです」
あたしは、耳を疑った。
淳平という青年は、どう見ても高校生くらいだった。
だったらいつの子なの?

「信じてもらえないかもしれない。けど、本当なんです。父は、あなたと結婚する前に菅谷水樹という、おれの母親と関係がありました」
「やめてっ!」
あたしは、彼の話を遮った。
あたしは彼を睨みつけていたかも知れない。
そして涙がとめどなく、目頭から湧いて、頬を伝った。
「ご、ごめんなさい!」
彼の方から詫てきた。
「おれ、おいとまします」
そう言って、彼は席を立った。

その後姿を見て、あたしは恐ろしい気持ちが湧いてくるのを禁じ得なかった。
主人は、ずっと前からあたしを、あたしたち福島家の人間を騙し通してきたのだ…
メラメラと怒りが心頭に達し、却って冷静さを取り戻した。
「淳平さん?」
「はい?」
彼は玄関で振り向いた。
「あなた、あたしのことどう思う?」
あたしは精一杯、誘惑するつもりで言った。
「き、きれいな人だなと…」
しどろもどろで淳平は答えた。
「どう?あなたの父親の女を抱いてみるってのは」
あたしは、どうかしてしまっていた。
けれども、そうするのが夫への、主人への最大の復讐になると思えた。
「そんな…」
「いいじゃない。あたしがいいって言ってるんだから。あなた、女の人を知らないんでしょ?教えてあげるわ、いらっしゃい」
そう言って、彼の手を取り、寝室に誘った。

「さあ、あなたは、これからお父さんの女を犯すのよ」
あたしは、夫婦のベッドの上に大の字になって、娼婦のようにしどけなく体を横たえる。
淳平君は、我慢ができない風にあたしにのしかかってきた。
激しく口を吸われ、お乳をまさぐられた。
あたしは、覚めていた。
しかし、青い性に身を委ねると、内側から潤ってくるのを覚えた。
彼は、もどかしくズボンを脱ぎ捨て、パンツを下ろして挑んできた。
あたしも、スカートをめくり、ショーツを下げてやった。
蒸れた陰部の匂いが立つ。
洗っていないのだから仕方がなかった。
それでも、喜々として淳平はあたしの割れ目にむしゃぶりついた。
犬のようにぺちゃぺちゃと舐め、さすが親子だと感心させられた。
「れ、麗華さんと呼んでいいかな」
「麗華でいいわ。淳平くん」
ハプ・・・
また、執拗に舐めまわす。
まるでバター犬だ。
「もういいわよ。入れても。でないと、淳平くん、そのまま爆発しちゃいそうだもの」
あたしは、年上の余裕で言ってやった。
「は、はい」
Tシャツのまま重なってくる。
「入ってないよ」
あたしは、たしなめた。
谷筋をうろうろする、ペニスが見えた。
すばらしい角度で勃起しており、半分以上皮から顔を出したその先端は美しいピンク色だった。
主人の物よりいくぶん小ぶりだが、十分な成長ぶりだった。
手間取っているうちに、淳平は、
「あはあ…」
と言って、射精してしまった。
暖かい液体が内腿やら、おへそのあたりにぶちまけられ、彼は肩を落としてベッドの上に座っていた。
無理もない。
初めてだったのだ。

あたしは、優しく、くすぐったがる彼のものを始末してあげ、お口できれいに舐めとってあげた。
すると、ムクムクと大きくなり始め、さすがに若さを見せつける。
「もう一度、するよね」
「いいんですか?」
「このまま帰る?」
「いや、そんな…」
「でしょう?ここに横になって」
「はい」
素直な、淳平くんである。
あたしは、あまりしないんだけど騎乗位で彼の最初の女になってあげることにした。
そして、彼の射精を胎内で受けてやりたかった。
そうしないと、主人への復讐が終わらないのだ。
あたしは淳平の子をみごもって、産んでやる。
そうすれば、あたしの父も喜ぶはずだ。
淳一の子の子なのだから、あたしはそれでもいいと思った。
「入れるわよ。見ていて」
「う、うん」
枕に頭を載せて淳平がこちらを見ている。
あたしは中腰で彼をまたぎ、その勃起を自分に向けた。
硬い。
バネのように反発する。
それを無理に上に曲げて膣に誘う。
狙いを定めて腰を下ろせば、鞘に沿うように剣が収まった。
「ああ、硬い…」
「入っちゃった…」
淳平くんも思わず声を漏らした。
しばらくその存在感を確かめ、あたしは動いてあげる。
じゅぼじゅぼじゅぼ・・
あたしは若い剣に突き上げられ、子宮をうずかせる。
今日は、危ない日だった。
絶対、もらう。
「淳平くん、中に出していいのよ」
「え?子供できちゃうよ」
「いいのよ。淳一さんは子供を欲しがらないから、してくれないの。あなたならしてくれるでしょう?」
そう言いながら若い顎をあたしの指でなぞる。
ゾクッと淳平が震える。
「正常位で突いて」
「はいっ」
あたしは彼の手を引っ張りながら、つながったまま後ろに倒れた。

淳平くんは、せっせと腰を入れ、あたしをのけぞらせてくれる。
「ああっ、いい、そこいい!」
「レイカさん、レイカさん」
こういう処も父親にそっくりだった。
声も似ているといえば似ていた。
まだ寒いのに、あたしたちは汗みずくになって、励んでいた。
「おれ、もう・・・」
淳平の終わりが近づいているようだった。
「来てっ。たっぷりちょうだいっ」
「はふっ、いっぐう・・・」
どばっと、あたしのなかに圧力を感じ、彼は深いところで果てた。
もう、確実に妊娠できるような気がした。
すぐに淳平は抜き去ったので、ごぼっと、白濁液が吹き出した。
「うわあ、やっちゃったよ」
「いいのよ。いいの」
あたしは淳平を左に引き寄せ、口を吸った。
あむ・・・
「ありがと。淳平くん」
「レイカさん」


淳平とあたしは春休みに何度も交わった。
避妊もせずに…

そして、新緑の季節を迎えて、妊娠の兆候をみた。
主人は、意外だという顔をしたが、もとより自分の息子の子を宿しているとは思っていないみたいだった。
何より喜んだのはあたしの両親だった。

(おしまい)