AV監督の藤堂真司が「ゆかの床上手」という題で、女子体操選手が柔らかい体を駆使したカラミを撮ると言うてきた。

「ゆかちゃん」と「床」を掛けているのだ。
言うまでもないけど。
でもAVだから「とこ上手」にも掛けている。


実は女優に新体操を学生時代にやってた花村ゆかという子がいて、藤堂が「これや」と思ったらしい。
藤堂自ら「味見」したら、そのきつい締め付けがたまらんかったそうだ。
「五分、持たなんだ」と少年のように恥入って藤堂が話してくれた。
見たところ、健康優良児というショートヘアのゆかちゃんは、もちろん本名ではない。
本人曰く、床体操が得意だから、「ゆか」にしただけとケラケラ笑って答えてくれた。

体の柔らかさに嘘はなく、どんな無理な体位でも一発で表現してくれる。
身長が148センチと小柄だから、中学生にも見えるけれど二十一だそうだ。
「このお仕事をするようになってから、お乳が大きくなりましたぁ」なんてことを言う屈託のなさ。

バストはしっかり八十五のCだそうです。
「パイずりできます。ハイ」
バカっぽいところが藤堂のお気に入りらしい。

しかし、藤堂の巨根をこの華奢(きゃしゃ)な体でよく咥えこんだもんだ。

脚本というようなものはいらないような作品である。
藤堂の頭の中にイメージがあって、紙にざらざらとコンテが書いてあった。
この人の文字は、そうとう慣れないと読めない。
「ふ~ん。コーチと生徒っていう設定ね」
「ま、そんなとこやろ」
「異性は先生しか考えられんもんなぁ」
「そのセンセも、体が柔らかくないといかん」
「監督は無理やな。あはは」
「おれはカメラ回すからあかん、中西(助監督)も体が固い」
「男優に困っているわけね」
「そゆこと」

「ゆかちゃん、彼氏は?」
「じつはね、コーチ」
「え?ほんま?」
「そのコーチに出てもらお」
「え~っ、そんなぁ」
コーチに秘密の仕事だったのに、AV女優というのがバレてまうやないか…
一途でないことも…

さあさ、大変だ。
あたしは知らない。