有楽斎(うらくさい)は、銚子の酒をあたしのツビに注いだ。
※「ツビ」とは膣のことらしい。有楽斎とは織田長益で信長の年の離れた実弟。
「いやっ。そんなっ」
「うへへ、なんぼでも入るがな。ほら、もっと腰をあげんか。こぼすがな」
にやにやと、有楽斎は行燈の灯りでおおきな影を揺らしながら、あたしの腰巻の中に頭を突っ込まんばかりにのぞいている。
細川幽斎様が、床の間の方でひとり手酌であたしたちの痴態を眺めていた。
「白拍子風情に、この品のええもち肌、たまらんわい」
「有楽斎どのも、飽きんのぅ。こないだの盲(めしい)の女もいじりたおして泣かしてから。今度は白拍子でっか?」
「細川様もこちらへきて、見とおみ。なんともかいらしいおめこでっせ」
「どれ」
あたしは腰を上げて、お酒をこぼさないように耐えていた。
細川様がそばににじりよる。
二人の殿方があたしのおめこをご覧になっている。
「して、その方、名はなんと」
「富野荘(とのしょう)の尚子(なおこ)と申しまする」
「富野荘いうたら、大和のほうやな」
「そこまでは行きません、宇治の南のほうです」
「まあええわい。わし、この酒、飲みまっせ」
と、有楽斎があたしの尻の下に腕(かいな)を回し、盃(さかずき)をあげるようにあたしを持ち上げ、ツビに口をつけてずずずぃ・・・とすすったのだからたまらない。
「あ、いやぁあん」
裳裾はすでにはだけ、かわずの腹のようなしろい腹を波打たせて、あたしはのけぞった。
ぶじゅ、ぶっちゅうぅぅぅ・・・
有楽斎の顔がべたべたになり、そのいやらしい目つきがあたしを射る。
ぺろぺろぺろ…
肉ひだを舌でかきわけ、実(さね)をつついて、有楽斎はご満悦だった。
細川様はつるりとはげ頭を撫でて、
「こりゃ、たまげた。あきれた御仁じゃ」
と一言のたまった。

その晩は、有楽斎にくたくたになるまでもてあそばれ、夜明けごろに、
「では」
と言って、我慢の限界、遠慮のかたまりの鎌首を突き刺して来たのだ。
「あひ」
「ううわおぅ。よう締まる。よう締まるわぁ」
南禅寺の鐘がごーんと鳴り、一番鶏の声とともに、有楽斎は精汁を放って、高いびきををかいて寝てしまった。
あたしは、逃げるようにそこを去り、夜明けの京の街をひた走った。

内ももに、生暖かい汁がつたって、朝霧の押小路(おしこうじ)の路面を汚していた。