桜も散り始め、代わって若葉がグイグイと目立ち始めたころ、第五十回センバツ高校野球は浜松商業の初優勝で幕を閉じた。
そしてキャンディーズが解散した。
「行きたかったなぁ、後楽園」
おれにとって、今は甲子園よりも後楽園だった。

おれは、少年野球を二年ほど経験したので野球は嫌いではない。
高校野球も暇があればテレビで観戦していた。
とはいえ、体を動かすのは苦手な方だった。
中高と、軽音楽部や落研(落語研究会)に所属している、まったくの運動音痴少年だった。
深夜放送にせっせとリクエスト葉書きを出し、番組で読まれることを、こよなく希求する暗い思春期を送っていた。

しがない私立大学に推薦で合格し、ほとんど受験勉強らしきものを経験していない。
親も、おれにしては上出来だと、なかば諦めて学資を出してくれている。
「大学くらいは出ておけ」というのが、オトンの口癖だった。
そんなだから、一回生、二回生と遊び倒して、とうとう三回生を二度経験する羽目になる。
パチンコとマージャン、バンド活動に明け暮れ、桜ノ宮のトルコ風呂で童貞を捨て…深酒で何度、公園で夜を明かしたことか。

女友達もいることはいるが、体の関係になるような親密さはない。
バンドでたばこを回し飲みする程度だ。

そんなときに、三つ違いの従妹の早苗が、はちきれそうな若さを振りまいて、おれん家(ち)にやってきたわけだ。
それも、とんでもないスタートで…
インキンのしなびた粗チンを見られて、おれは消え入りたい気持ちでいっぱいだった。
それでも早苗は、屈託なく、これまでのように接してくれる。
頭がよくて、いじらしいかぎりだ。
おれは気になって仕方がない。
「さなえっ!」
声にならない声を出しておれは、何度も早苗を「オカズ」に分身をしごいた。
あれから、たぶん、早苗は、おれが感染(うつ)したであろうインキンを撲滅させるため、「おめこ」を日に干しているのだろう。

「やっぱり、お兄ちゃんのパンツと一緒にお洗濯してもらってるからかな…」
数日前の夕飯のとき、こっそりとおれに早苗が言ったことを思い出した。
「そうかもな」
「おばちゃんに、分けて洗うてもらえへんやろか?」
「おれが言うんか?」
「うん。あたしから言いにくいもん」
「わかった。なんとかする」
そんなやりとりがあったのだった。

春はいろいろとあるもんだ。
二階の洗濯物干し場に、おれのデカパンと、早苗のちっさいショーツが並んで干されていた。