こうちゃんの体越しに南天の星座が広がる…
「ああ、大マゼラン雲が、届きそうなほど近くに見えるわ」
「なんだって?」
こうちゃんは、入ろうとして、暗がりのために難儀しているみたいだった。
「すっごくきれい」
「なおぼん」
ぐぐっと、私を押し広げて侵入してくるものがあった。
「ああっ、こうちゃん…」「なお…」
星座は、かぶさってくるこうちゃんに隠され、私は闇の中で唇を重ねた。
しかし、わたしには満天の星が見える。
そしてゆっくりと星々は流れるのだ。
は…む…
ひとしきり、こうちゃんが私の口の中をかきまわすと、離れた。
続いて、ゆっくりと私の中を出入りする。
「ああ、うう…」
私は声にならない声を漏らして、こうちゃんのゆっくりした、しかし力強い抽送に身をゆだねる。
そしてまた、大マゼラン雲に視線を合わせる。
約16万光年とも言われるほど遠くに、この星雲があるらしい。
近くに、小マゼラン雲という一塊(ひとかたまり)の星の群れがあったが、こっちは20万光年とさらに遠い。
ともに、私たち銀河の伴星雲なのだと学者は言う。
「なおぼんは、気持ちいいのかい?」
「ええ、いいわぁ。あなたの、とっても硬くってたくましい」
「そうかなぁ」
「最初のころは、かわいらしかったのに、今は見違えるほどいい男になった」
「やめてよ。はずかしいな」
「ううん。わたしは、いつもこうちゃんのこと、想ってた」
そういって私は、彼のほほを撫でた。
「なお」「こう…」
私は、また唇を奪われる。
こうちゃんの味は、なつかしい、肉親の味。
もう、味わえることのない、たった一人の味。

灯台の前の砂浜で、私たちは睦(むつみ)あっている。
まったく現実離れした世界で、私たちは、星空の下で鯨のように交わっている。
「どうしてここがわかったの?」「わからない」「もう離れないで」「もちろんさ」

砂の一粒一粒が、天の星を映していた。
その石英の粉末は、拡大すれば、稜線の立った結晶なのだろう。
いや、珊瑚虫の亡骸(なきがら)なのだろうから、石英であるはずがなかった。
それでも、そう思わずにはいられない。
こうちゃんの動きが激しくなった。
私の両足の膝を持ち、こうちゃんが腰を入れてくる。
硬いけれど、よくしなるこうちゃんのものが、抜ききる寸前でまたドンと打ち込まれる。
「あひ…こう…ちゃん…だめ、それ」「なお、いいの?」「いい、いいけれど…だめ。いっちゃう」「いけば?」「いじわる…」
子宮が突き破られてしまいそうな、強い衝撃が何度も私を襲う。
胎内の奥の方が、痛痒いようなしびれが走って、体中がざわつく。
「あくっ、だめよ、それ以上は…」それでも、こうちゃんはやめてくれない。
昔のこうちゃんなら、やめてくれたのに…
この世ではない逢瀬では、こうちゃんは豹変してしまったのだ。
金剛力士のような、こうちゃんが私を犯していた。
私はたぶん、犯されて殺されるのだ。
腹を突き破られ、八つ裂きにされるのだ。
そして、こうちゃんは勝ち誇ったように、おびただしい精液をぶちまけるのだろう。

そんな夢を見た。