美香は、ずいぶん緩んできた。
緊張がほぐされ、おれに全面的に身をゆだねてくれている。
美香の方からおれの背中に腕を巻き付けて、体を密着させてくるのだった。
「ああ、ケイタくん…」「みか…」
互いの名を呼び合って、愛を確かめる。
美香とこのまま一緒になれたらいい。
「結婚」の二文字が、強く脳裏に認識された。
唇を重ね、間近で美香を見つめ、美香もおれを見つめ返してくる。
「みか…結婚しよう」
とうとう言ってしまった。
美香はおれの汗で貼りついた額の髪を、指先でなぞるように分けながら、
「いいの?あたしで」と言った。
「ああ、美香でなければだめなんだ」
「考えさせて…」
意外な答えだった。
即答はしてくれなかった。女性は結婚に対して慎重なのかもしれなかった。
すると、自分が簡単に結婚を口にしたことで、自分が軽薄に見えてくる。
おれは、何を焦っているんだ?

美香の体を味わおうと、ゆっくりおれは動いた。
美香はもう、痛がらず、おれの動きに合わせている。
「はぁ、ケイタくん、いいわ。なんだか、変になりそう」
「なればいい。もっと感じてほしい」
美香は目をつむって、口を半ばあけて、あえぐような表情を見せる。
しっとりと汗で濡れた美香の胸元は、淡いピンクに色づいている。
乳房はおれの動きで複雑に揺れた。
おれは、美香を引っ張り上げ、騎乗位にさせる。
「やん、こんな格好」
「深く入るだろう?」
「うん、怖いみたい」
「自分で動くんだ」「こう?」
ゆさゆさと腰を振って、美香がぎこちなく動く。
「あっ、ケイタくんの硬いのがわかる」「だろ?全部入ってるぜ」
美香の内部は、かなり滑らかに潤い、自分でも感じているようだった。
レイコのようにきゅっと締まる動きも見せる。
その締まり方も、レイコの入り口を締めるような力強さはなく、ペニス全体を包むような絞りかただった。
「ケイタくんは気持ちいいの?」「ああ、すごく気持ちいいよ」「あの子たちみたいに出すの?」「そうだな」
美香が、男子高校生に暴行されたことを思い出しているのだろう。
男の射精を見せつけられた美香は、そのことで男を嫌悪しているのかと思っていたが、さほどでもないようだった。
「あいつら、美香の手に出したんだろ?」「握らせてね、こういうふうにさせられた」
手で丸く筒状にして上下に動かす動作をして見せてくれた。
「ああ、男は一人でそういうふうにオナニーするんだ」
「ふふ。知ってるわ。だから、してやったの。そしたら背の低い方の子が、びゅって飛ばしたわ」
「よく見てんだね」「見えるもん」「もう一人いたろう?」「あいつは、自分でこすって出したみたい」
ゆらゆらとおれの上で揺れながら、面白そうに美香が話す。
結構、しっかり男の子たちの行動を見ていたらしい。
「精液って、美香はどう思うの?」「汚いわ」「じゃ、おれのもそうかい?」「ううん。ケイタくんのは、大事なものだから」「大事って」「あたしに赤ちゃんを授けてくれる、大事な宝物」
そう言って、かぶさって、唇を求めて来た。
「ああ、そう思ってくれているんだ」
「もちよ。でなきゃ、こんなことしないよ。ケイタくんに最初、してもらうんだって決めてきたんだよ」
目の前で、美香がささやくように告げた。
「初めてを、おれに?」「そうよ。だから、あたしを捨てないで」
それなら、どうして「考えさせて」と言ったのだろう?
「捨てやしないさ。結婚してくれるんだろ?」
「それは、まだ、考えさせてください」
きっぱりと、言う美香だった。

おれは、美香に背を向かせ、バックで攻めることにした。
「ひゃっ。これすごい」とは、美香の感想だった。
バックスタイルは、たいていの女性が喜ぶ体位だった。
美香も、最初からこの形を気に入ったようだ。
「どうだい?深いだろう」
「うん、さっきより、ずんずん奥に来る感じ」
おれは、激しく突き立ててやり、深いところで手を回して、重そうに垂れている乳房を揉みしだいた。
「はくっ、ぐっ」
喉を鳴らす美香。
四つん這いで、頭を振って感じてくれている。
狭い膣を切り裂くように、おれは勃起をねじ込む。
じゅるり…じゅりっ…
粘液質のまとわりつきが、亀頭を刺激する。
おれは腹と彼女の背中を合わせるように抱き着いて、腰だけをへこへこ動かしながら交接していた。
もう、これは動物の交尾そのものである。
コンドームがよれて、外れかかってきた。
おれは、ひそかにコンドームを取り去って、ふたたび挿入した。
美香にはわからないだろう。
「ああ、ケイタくん、なんかすごい…」
「これがセックスだぜ」
「クセになるかも」「なればいい。いつでもしてやるから」「やだ、もう」
清楚な美香にも、淫乱な部分があることを知った。

ふと木下真帆のことを思った。
彼女も、乱れたらこんなになるんだろうか?
娘がいるんだから、男を知っているはずだった。

おれは、美香の髪の毛の中に鼻を埋め、その香しい匂いをいっぱいに吸い込んで、絶頂に向かった。
「あ、は、みか、みか」「ケイタくん、ケイタ…」
腰に電撃が走り、美香をきつく抱きしめ、結合部を密着させて子宮めがけてぶっ放した。
どぷ…
びくびくびく…

美香がそれを感じてか、打ち震え、ベッドに突っ伏してしまった。
おれの勃起は、美香を孕ませるごとく、大量に種を仕込んでいる。
勃起が収まらず、硬いまま美香に突き刺さっている。

「ケイタくん、コンドーム、取っちゃったでしょ?」「え?」「どうすんの。あたし、妊娠しちゃうじゃない」
そう言って、涙ぐんでいる。
美香の視線の先には、しわくちゃのゴム製品が転がっていた。
「責任はとるよ。産んでくれ」
「もう…知らないわ。お父さんに知れたら、ケイタくん、半殺しにあうわ」
「そんなにお父さん、怖いのか?」
「菱川会の副組頭、田中龍兵。あたしはその一人娘なの」
おれは、一気に分身が萎えた。
何という恐ろしい女に手を出したのだろう?
「どうしたの?怖いの?」
「そりゃ、怖いさ」
「あたしが好きなんでしょ?結婚してくれるって言ったじゃない」「言った…けど」
「男なら、覚悟してよ」「うん…」
「頼りないわねぇ」
田中美香の清楚な姿はそこになかった。
姐さん風を吹かせているような、そんなふうに見えた。

「美香、なんか態度が変わったみたいだ」
「そうかしら?ケイタくんのほうが、あたしに対する見方が変わっちゃったんじゃない?」
「そうかもしれない。美香は本当は、極道の女なのかい?」
「だったら、どうする?」
ニタリと笑っておれを見る美香。
「どうしよう」
「極道の一人娘を手籠めにして、孕(はら)ませたとなると、指一本くらいなくなっちゃうかもね」
さらっと、そんな恐ろしいことを言う美香だった。
「だいじょうぶよ、ケイタくんに真心があれば、父もわかってくれる。あたしだって、ちゃんとお願いするし」
「わかった…」
「裏切ると、ただじゃすまないってこと」「うん」

美香が「考えさせて」と言ったのはこういう意味があったのか。

「ちっちゃくなっちゃったね」
おれのイチモツは、情けないくらいに小さくなって、陰毛の陰に隠れていた。
「しゃぶってあげる」
そういうと、美香はおれの股間に割り込んで、その部分に愛らしい顔を近づけ、大胆にも、行為後の汚れた陰茎を口に含んだ。
とても処女の行いとは思えなかった。
処女だと思ったのは錯覚だったのかもしれなかった。
そんな気持ちとは裏腹に、ペニスは硬さを増し、愛らしい唇から出入りする分身を誇らしく思った。
ちゅっ…
「おっき…おもしろいね。これ。小さくなったり、おっきくなったり」
「ああ」
「じゃ、ごめんあそばせ」
そういうと、美香はおれをまたいで、慣れた感じで騎乗位になった。
「美香は、初めてじゃなかったんだね」
「なんで、そんなこと思うの?」
「なんか、慣れてるから」
「初めてよ。ケイタくんが。でももう慣れたの」
すまして、そう言いながらおれの上で腰を振っている。
「ああ、硬い」
「みか」
「もっと突いて」
「こうかい?」
おれたちは、後戻りできない行為に耽溺していった。